わさらーと黒川祐希 対談 〜デジタルネイティブはどこへ向かうのか〜

LINEグループで1万人を超える会員を率い、「若者の神」とさえ呼ばれたカリスマ高校生、
「帝越コク」こと黒川祐希氏と、Twitterのアーリーアダプターで著名ブロガーのわさらー氏
による約一時間の対談を収録。ネットとともに生きてきた「デジタルネイティブ」の二人が、
各々のSNSの使い方から、社会論、死生観までを圧倒的な熱量で語り尽くす。さらに日本最大の
ネットユーザー交流団体を率いるTwitter界の権威、「ひもてぃー」こと樋茂国明尊師が解説を熱筆!!
全ネットユーザー、若者関係者、SNS専門家必読の書。

目次:

・まえがき
・なぜTwitterは注目されないか
・チャレンジとリスク
・政治とインフルエンサー
・スマホは臓器だ
・スマホ世代と読書
・カルチャーは一般化すべし
・ツールとしてのネットと集団意識
・通信の傍受と個人のリテラシー
・LINEカルチャーの変遷
・ネットでの売名と匿名性
・サービスの変化はどこから生まれるか
・リアルとネットの関係性
・これからの黒川祐希
・わさらーの目的
・動画コンテンツの可能性
・環境問題を語る
・死生観と理性
・年齢を重ねて変わること
・「デジタルネイティブ」の作る未来
・「ふぁぼ界隈」はどうできたか
・SNSユーザーにひと言
・解説 ~ツイッタラーとは何か~
・あとがき
・奥付

人物紹介:

わさらー
農家、ブロガー。匿名クラブ理事、副会長。
2003年にブログを開設し注目を集めるようになる。その後、2008年に開設したTwitter
アカウントが注目され、影響力を持った「アルファツイッタラー」の代表的人物として知られる。
2011年にツイッタラー団体「ワサラー団」(現、匿名クラブワサラー団コアブランド)を設立し
話題となり、同団体の実質的指導者として企画を実行、現在同ブランド事業統括。2014年に
匿名クラブ副会長に就任、2016年からWebメディア「Adect」ライター。
ほかに、電子書籍普及委員会会長、ツイッタラー団体連合会発起人を務める。

公式ブログ http://wasara.blog101.fc2.com
ワサラー団 http://wasara.tkm.club/
Twitter @wasara

黒川祐希(くろかわ ゆうき)
本名、黑川祐希。1999年生まれ、東京都出身。匿名クラブ「帝越グループ」コアブランド総裁。
2013年7月、「帝越コク」のハンドルネームでLINEグループ「何でも屋」を設立した後、急速に
規模を拡大。のち「帝越グループ」(現、匿名クラブ帝越グループコアブランド)と名称変更し、
日本有数のLINEグループとして世に知れ渡る。2015年より本名を公開して活動しており、
Webメディア「Tobira」「社長訪問」でライターを務める。
ほかに、特定非営利活動法人青春基地編集部員、学生団体GreeITs代表などを歴任。

帝越グループ http://mikagoshi.tkm.club/
Twitter @youkill1215

樋茂国明(ひもて くにあき)
1998年生まれ、東京都出身。匿名クラブ責任役員理事長。
2014年3月にTwitter団体「匿名クラブ」に入会。企画などに携わり、サイトマスター、幹部を経て
9月より会長。就任後半年で当時世界最大規模の団体に成長させ、「Twitterの尊師」の異名を得る。
2016年、匿名クラブ内でWebメディア「Adect」(アデクト)を立ち上げ、サイトマスターに就任。
同年会長を退き、総帥を経て現職。
ほかに、電子書籍普及委員会理事長、日本非モテ男性機構代表理事などを務める。
ハンドルネームは「ひもてぃー」。

公式サイト https://himote.pw/
匿名クラブ https://www.tkm.club/assoc/
Adect https://www.adect.net/
Twitter @hmti_

発行者:

犬吠埼一介
inubousaki-ikkaiアットマ-クkir.jp
電子書籍普及委員会(電書会) 公式サイト
http://inubousaki-ikkai.kir.jp/denshokai/

BW版:
https://bookwalker.jp/deb6e058ac-bc6b-4e83-85f0-e02d008e1e40/?acode=BUVpkzGF

アマゾン版:
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MXZ4GIO/

pixiv版:
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7914935

epubファイル mobiファイル PDFファイル

まえがき 目次に戻る

「デジタルネイティブ」とは、生まれたときからインターネットのある生活環境が当然のものとして育ってきた世代のことをいう。この世代にとってインターネットは、空気や水と同じように、常に身近にある生きていくうえで欠かせないもののひとつといっていい。私自身も現在高校三年生で「デジタルネイティブ」にあたる世代であるが、幼少期から自宅のパソコンにはネット回線が引かれており、インターネットを長い間活用し続けていると自覚している。

 この「デジタルネイティブ」世代は、スマートフォンの爆発的な流行と普及によって、急速にその姿を変えつつあるという。

 スマートフォンがもたらした直感的な操作性と携帯電話データ通信の高速化は、インターネットユーザーをその利用場所という制約から解放した。今や街中で周りを見渡せば、スマートフォンを片手に歩いている人を見ないことがないほどだ。

 日本で最初の本格スマートフォンiPhone 3Gが発売されたのは2008年。今高校二年生の人たちは、小学三年生のころからスマートフォンがすでに世間に登場していた世代ということになる。

 とりわけ都市部の子供たちは早くから携帯電話を持たせられる傾向が強いようで、内閣府の調査では、2012年度の時点ですでに小中高生の3人にひとりがスマートフォンを持っていたという結果が出ている。

 この、あまりにも急速なスマートフォンの普及は、私たちの生活に大きな恩恵をもたらしたとともに、深刻な弊害も浮き彫りにした。

「ながらスマホ」などの危険な行動はいうまでもなく、「スマホ中毒」患者も近年増加し、日常生活に支障をきたす若者も増えているという。さらには、小さなころから周りにスマホしかなくパソコンを操作できないという、今までの「デジタルネイティブ」の常識では考えられないような若者も少なからず出てきている。なかにはネット上で繋がった相手と深刻な問題を引き起こしてしまう人までおり、対策が急がれている。

 2016年1月3日の朝日新聞の記事で私がインタビューを受け、こうした「スマホネイティブ」の現状について語ったこともあり、私のところにも多数のメディアから取材依頼が殺到した。「スマホネイティブ」世代の生み出した新しいカルチャーは、功罪併せ持つ複雑なものになっている。そのうちTwitterユーザーに関するもののなかでも、事前知識のない方には理解しがたいと思われる点のみ「解説」として末尾に掲載したが、詳細は別の機会に紹介することにする。

 本書は、私が代表を務めるネットユーザー交流親睦団体「匿名クラブ」でそれぞれ役員となっている、ソーシャル情報サービス「Twitter」でフォロワー約19万人を擁する「わさらー」と、現在高校二年生(収録当時は一年生)で、メッセンジャーアプリ「LINE」での多大な影響力から「若者の神」とさえ呼ばれた「黒川祐希」の二名で行われた約一時間の対談を収録したものである。

 わさらーは2008年からTwitterを続け、ツイート数は50万、フォロワーは19万人に及んでおり、ファンからの支持も篤い。彼は匿名クラブで副会長を務め、「ワサラー団」コアブランドの事業を統括するなど、大変熱心に活動をしている。その傍ら執筆業にも取り組んでおり、処女作の「わさらーが語る! Twitterの歴史」がKindleストアのコンピュータ・ITカテゴリで一位を獲得するなど多大な実績を上げた、SNSユーザーの第一人者だ。

 黒川は、2013年7月に「帝越コク」という名義で「何でも屋」と銘打ったLINEグループを発足し急速に規模を拡大させた。匿名クラブでは、参謀長、副会長を歴任し、現在はインターネット有数の大規模グループとして知名度と影響力を上げたLINE最大規模グループ「帝越グループ」コアブランドを統括している。

 本書の執筆を電子書籍普及委員会の犬吠埼一介代表から依頼されたとき、私はすでに他の本の執筆に取り掛かっていたので、一度は断ろうと考えた。しかし、対談の中身を聞いて、「これは書き起こして世に出さねばなるまい」と思い、予定も考えず引き受けることにした。この理由は、最後まで目を通していただければ読者諸氏にもお分かりになるだろう。

 本書は、時代の最先端を行く彼ら二人が、自身のSNSの使い方から政治問題、さらには死生観までの幅広い論題を、荒削りながらも鋭い観点から論ずる構成となっている。本書を、デジタルネイティブ、スマホネイティブへの理解を深める一助にしていただければ幸いである。

    2016年12月
              匿名クラブ 責任役員代表理事理事長  樋茂 国明

なぜTwitterは注目されないか 目次に戻る

わさらー「今回は、今話題の、そして今後も話題になっていくであろう黒川祐希くんとわさらーのそれぞれが、SNSや今の世の中に関してどう考えているのか話していこうという会を設けさせていただきました。よろしくお願いします」
黒川祐希(以下:黒川)「よろしくお願いします」
わさらー「じゃあ、自己紹介といったところからいきましょうか。まず自分からなんですけど、自分はTwitterをやり続けていて、新しいことに挑戦できたらいいな、と思って本を出したり、ライブをしたりしていますが、ちょっと人気になりきれていない(笑)わさらーという者です」
黒川「僕は、LINEで活動していたら、何かちょっと注目度が上がっちゃって、名前がひとり歩きしてるんじゃないか(笑)と悩みながらも、高校生ライターという肩書きでいろいろとやらせてもらっている黒川祐希という者です。「帝越コク」って名前でLINEをやっていたんですけど、「黒川祐希」っていう名前に変えて活動しています。よろしくお願いします」
わさらー「よろしくお願いします。って、黒川くんはただのライターの域を越えてるじゃないですか(笑)。今の自己紹介を聞くと、普通な感じがしてしまいますけど」
黒川「まあそんな感じはしますよね」
わさらー「全然普通じゃないですからね。もう「SNSの申し子」みたいになってますよ。LINEで活動していたときはLINEのときで、かなり人気でしたけど……そもそもブレイクのきっかけになったのは、「Kakeru」(注:株式会社オプトのオウンドメディア)っていう、ネットの記事」
黒川「そうですね、あのバズった(注:多く閲覧された)記事。あれがほぼ今の知名度を得たきっかけですね」
わさらー「どういう経緯で取材の話が行ったんですか?」
黒川「あれは、「匿名クラブ」に関する取材がきっかけだったんですけど、メディアの方は、その活動のなかでも特にLINEのほうに注目していって、私に取材がきたって感じですね。」
わさらー「匿名クラブって、メインはLINEの人たちじゃないもんね」
黒川「はい。Twitterを中心に活動している団体じゃないですか。なんですけど、メディアの人たちは、何か分かんないんですけど、Twitterのほうはメディア受けしないと思ったのかは分からないんですけど、LINEのほうに興味を示したんですよね」
わさらー「へぇー」
黒川「これは予想ですけど、いわゆるツイッタラー(注:Twitterユーザー。ここでは狭義)とか「ふぁぼ界隈」(注:「いいね」などのツイートへのエンゲージメントの増加を目指すユーザー。詳しくは後述)って、多分大体の大人は「そういう世代があるんだな」って予想はつくし、想像はできる世界だと思うんですよ。でもLINEのほうは、「LINE民」とかそういう界隈って想像もつかない。だって多くの大人ってLINEは一対一、もしくはグループトーク……まあせいぜい自分の現実世界で面識ある人とトークするときにしか使用しないから。だからそういうところで見知らぬ人とコミュニケーションしている、そういう「SNS」的な、そういう界隈がカルチャーとして浸透しているっていうのに衝撃を受けたんじゃないかと。そっちのほうがメディア受け、世間受けもしやすいという考えで、匿名クラブのLINEセクションばかりに注目したのかな、と個人的には思っています」
わさらー「なるほど。まあLINEのほうが「後」だから、想像しづらいっていうか。Twitterも最初はそうでしたからね」
黒川「だからTwitterなんかは、別に今さら「バーン!」って注目されるものではないのかなと」
わさらー「確かに。まあ匿名クラブっていったらワサラー団も匿名クラブのブランドだし」
黒川「匿名クラブのTwitterセクションのことを悪くいうつもりはないですけど、そういう形になってしまったかなと」
わさらー「まあでも、いいんじゃないですか。こういう風にグループ同士で組むと、メンバー同士で繋がりが生まれて。お互いが匿名クラブに入っていなかったら、わさらーと「帝越コク」もまったく繋がらなかったかもしれないからね」
黒川「そうですよね」

チャレンジとリスク 目次に戻る

わさらー「すごいよね。黒川くんのその、チャレンジ精神というか。俺とちょっと似ているところあるかなと思うんですよ」
黒川「あ、確かに。そうですよね。方向性は多少違えど、チャレンジ精神自体は結構似ていると思います」
わさらー「そうだよね。だって別に、匿名クラブに入ったからって何か悪いことが起こるわけでもないし」
黒川「本当にそうですよね」
わさらー「リスクは冒したくないよね、逆に」
黒川「そうっすね。いやまあ、リスクは冒してもいいですけど、僕は」
わさらー「最近、黒川くんのほうは顔出ししたりとか……」
黒川「もう失うものないんで、僕は」
わさらー「これ聞いていいのか分からないんだけど、学校とかは……」
黒川「行ってます行ってます」
わさらー「行っている。そうなんだ。じゃあそうすると失うものある気もするけど?」
黒川「そうですか」
わさらー「いやでも、いいですね。今じゃないとあんな活動できないから」
黒川「そうですよね」

政治とインフルエンサー 目次に戻る

わさらー「最近のすごさったらないよね。枝野さん(注:枝野幸男。当時衆議院議員、民主党幹事長)とのツーショット写真とか、ヤバ過ぎでしょ」
黒川「いやー、もう本当、おかげさまでって感じですね」
わさらー「この間の民主党の(注:第一回民主党ハイスクール)……なんだったのアレ」
黒川「民主党が主催しているイベントで、青年委員会の方から依頼をいただいて、ゲストパネラーとして出演する、みたいな感じで」
わさらー「SNSは関係あったんですか?」
黒川「それはまあ、あると思います。僕以外のパネラーもみんな、いわゆるインフルエンサーといった人たちで」
わさらー「あっ、そうなんだ。有名な人、誰かいたんですか?」
黒川「RaMuさんのようなアイドル系の人とか、読者モデルとか、そういう感じの人たちですね」
わさらー「へぇー。僕、読者モデルって藤田ニコルさんしか思い浮かばないんですよ(笑)」
黒川「藤田ニコルさんの友達みたいな人も来ていましたね」

スマホは臓器だ 目次に戻る

わさらー「藤田ニコルさん、僕Twitterでフォローされてますから。なんでですかね。あれもなかなか面白い企画というか……僕、藤田ニコルさんとは直接面識あるというわけじゃないんですよ」
黒川「はい」
わさらー「Twitterで僕のなりすましをしてた人がいて。僕はなりすましをあえて許可していたので、どんどん活動していって。ということで二人で同じわさらーの名前を盛り上げていこうよ、ってやったのが「ふわさらー」っていう人。で、彼がツイキャスで有名になってくれたおかげで、俺も関係ないけどフォロワーが増えた(笑)。有難いことですよ。キャス行くと「あのわさらーさん!?」っていわれるし。分かってていってるのか、完全に勘違いしているのか分からない」
黒川「「声変わりましたね」みたいな(笑)」
わさらー「でもみんな、あんまり声まで覚えてないよね」
黒川「何となく、っていう」
わさらー「まあ、ふわさらーと比べられて、つまらないなぁ、っていうか、つまんなくなったなぁって思われちゃうくらいかな。黒川くんはツイキャスとかやらないんですか」
黒川「本当に暇なときとか、あとは気分ですね。定期的にやったりとかはしていないです」
わさらー「人来るんですか?」
黒川「全然来ないっすよ」
わさらー「ツイキャスはね、昔はできる環境を持っている人がほとんどいなかったから、結構人が来たんだけど、今ってもう誰でもできるからね……」
黒川「そうですよね」
わさらー「そう。スマホがあったらできちゃうから。スマートフォンすごいよね」
黒川「すごいっすよ。本当。だってスマホさえあれば何でもイケちゃうような気がしてますよ。スマホなかったら終わりですよ」
わさらー「(笑)もうスマホは臓器ですからね、我々の」
黒川「そう、まさに臓器ですよ」
わさらー「たまにスマホを家に忘れてきた、っていう人もいますけど、信じられないですよね」
黒川「スマホを家に忘れるっていうのは、心臓をどっかに落とすぐらいの異常なことだと思うんで」
わさらー「異常ですよ(笑)。だって僕はそんなことなかったですもん。風呂に入るとき以外はスマホ片手にやってますもん」
黒川「僕はむしろ風呂入るときでさえもスマホやりながら」
わさらー「(笑)これがいいのか悪いのかねぇ、果たして」
黒川「ただのスマホ依存っていう(笑)」
わさらー「若者の勉強時間とか、かなり削られていると思うけどね、これ」
黒川「どうですかね……。確かに学生がハマったらかなりまずいところもあるかもしれませんね。スマホって、多くの人にとっては暇つぶしに過ぎないじゃないですか。あとは情報収集とか、そういったツールとしての使い方の人も。でも、それを実際に現実で活かしている人って少数だと思っていて。で、僕はわりかし活かしているほうだと思うんですけど」
わさらー「活かしているね」
黒川「でも、活かせていない人が大半なんで。で、そういう人たちがあまりにも長時間使用してしまうと、長い目で見て何か意味があるのかな、と思ってしまうんですね」
わさらー「そうですよね。やっぱり「何かしてやろう!」と思ってやるんだったらいいけど、ただ単に友達としゃべるだけとかだったらね、何も得られていないからね」
黒川「そうです。スマホ……というかインターネットって、可能性があると思うので。もったいないですよね、そういう「普通」な使い方しちゃうのは」

スマホ世代と読書 目次に戻る

わさらー「(インターネットにハマって)本とかなかなか読まなくなっちゃうな、と思って」
黒川「確かに確かに」
わさらー「でも黒川くんは結構読んでいるって聞くんですけど」
黒川「まあ、ぼちぼちですね」
わさらー「結構前から読んでいるの?」
黒川「そうですね、小さいころから」
わさらー「わあ、いいなあ。本を読まないとダメっすよね(笑)」
黒川「本を読むのって、一番日本語の勉強として面白いですし、効率もいいっていう。一石二鳥というか」
わさらー「どんな本を読むの?」
黒川「いろいろ読みますけど、今は石田衣良の本とか。大体小説ですね」
わさらー「いかにも、な感じですな(笑)。若者が本気になって読めるいい本というか。村上春樹とか石田衣良とか。僕は森博嗣が好きなんですよ」
黒川「あー、なるほど。まだ、割とアレですよね。僕は若い作家が若いときに書いた作品とかが好きなんで。それこそいつだかわさらーさんもいってましたけど綿矢りさとか。ぼちぼち読んだりしてましたね」
わさらー「なるほどー。そういうことか。今また、若者の環境もガラッと変わってきてるからね。スマホのせいで、というか」
黒川「「おかげで」か「せい」か分かりませんけどね」
わさらー「(笑)そうだね」
黒川「いくらでも捉え方ありますもんね」
わさらー「本当ですよね。チャットでしたよね、綿矢りさの作品の題材は。何か、チャットで出会ってどうのこうの……今じゃあれなんかもはや小説にするまでもないよね」
黒川「そうですね。でもその当時にはそれはある種の、大人からすれば革新的というか、そういう発想に見えたんじゃないですかね」
わさらー「本当ですよね」
黒川「なので今「ふぁぼ界隈」の小説を書いたら多分すごいことになりそうですね」
わさらー「(笑)もうないも同然だけどね、ふぁぼ界隈」

カルチャーは一般化すべし 目次に戻る

黒川「ふぁぼ界隈っていったい何なんですかね。消滅しちゃったものなんですか?」
わさらー「いやー、説明するとなると難しいですね。まあ、「ふぁぼ」とかの言葉が一般化することによって、むしろ逆に消失した感じはしますけどね。Twitterが今あえて注目されていないっていうのと同じ理由で」
黒川「僕は、正直にいってインターネットで独自に形成されたカルチャーにはあまり興味がなくて、そのカルチャーが、どのようにしてリアルの社会に影響を及ぼすのかという過程であったり結果にこそ興味があるんですよ」
わさらー「なかなか格好いいこといいますね(笑)」
黒川「格好つけてるんで(笑)。それで、「ふぁぼ界隈」が「ふぁぼ界隈」で完結しちゃったら終わりなんですよ。その「ふぁぼ界隈」から、どうやってリアルの、一般のユーザーに浸透させていくかとか、相互に作用していくかみたいなのが、見ていて面白いところじゃないですか。それこそ藤田ニコルさんがわさらーさんのことフォローしてたりとか。そういうのが一番見ていて面白いと思うんですよ」
わさらー「確かに。やっぱり、現実に対して作用はしていたと思うんだけど、それが「一般化」なのかな、って思うんですよね。「こういうのがあるんだな」と世間の人たちから思われて、結局みんなが相互にふぁぼし合うようになっていって、広範囲に広がって、当たり前の存在になっていくからこそ消えていくというか」
黒川「そもそも最初にあったのってリアルですからね。だからネットとリアルが分離していること自体がおかしくて。ネットとリアルって、情報量の差異だけじゃないですか、違いって。だからそもそも二分化させることが不可能なものだと思うんですね。ネットはリアルの一環みたいな。ひとつの形態としての存在だと思うんで。そのネットのカルチャーが、それでもリアルに影響をなさないというなら、それはもはやネットのカルチャーというよりかは、ある種の少数的な……マイノリティーとしてのカルチャーということであって。それは何というかネットだからこそ限定的に存在するものというか。もっというと「ムラ」みたいな、そういうイメージのほうが合っていると思うんですよね。ちょっと難しい話になっちゃいますけど」
わさらー「いやいや、面白いと思いますよ。現実にはなかなかできなかったことが、ネットがあったんでできているから。団体とかも簡単に作れたりとか、若者が意外な発言権を持てたりとか。だから実際問題、リアルの延長線上ではあるものの、ネットじゃないとできないことってのは結構ある」
黒川「そうですね。ネットは本当に公開してる情報量が少ないので、いうなればいくらでもリアルでの自分の短所っていうものを隠して長所に変えることもできますし」
わさらー「自分の短所なしの状態で有名人や知っている人を叩いたりできるのって、最強ですからね。2ちゃんねらー酷いですよ。有名になって他人に情報が知られれば知られるほど立場が悪くなるのがネットの特徴ですね」
黒川「そうですよね」

ツールとしてのネットと集団意識 目次に戻る

わさらー「ネットにもいいところ悪いところ、いっぱいありますからね」
黒川「まあ、「ツール」ってそういうものですからね。ネット限定の話じゃなくて。ネットって、僕はツール、手段のひとつに過ぎないと思うんですけど。例えば「自由」とかだって使い方次第じゃないですか。自由って、すごく便利な道具だと思うんですけど、使い方によっては銃規制の問題であったりとかがどんどん浮上してきて……それと同じで、インターネットが犯罪の温床になっているっていう人がいるじゃないですか、割と多く。でもああいうのは本当に違ってて、例えば、銃があって、そこから犯罪が発生するわけではないんですね。まず最初に悪いことを考えている人がいて、その人の前に銃があったからこそ、銃が犯罪に利用されるわけだと思うんですよ」
わさらー「はいはい」
黒川「で、インターネットもそれと同じで、あくまでツールに過ぎないんですよね。なので、まず最初に悪いことを考える人がいて、その人の前にインターネットがあって。インターネットがちょうど都合のいい道具だったからこそ、インターネットが使用されただけなんですよ。やっぱり、そこを見間違えちゃいけないんですよ。「仮想世界」なんてものは存在してなくて、あくまでそれはツールに過ぎないんです」
わさらー「なるほどね」
黒川「そこを……何というんだろう。大人って、彼らが生きているときにインターネットが突然現れたじゃないですか。「得体の知れない存在」として。なので、なかなか「ただのツール」には見えないんですよ。どうしても「仮想世界」のように映ってしまうんです。そこでネットを誤認識している大人が多いんじゃないのかな、と思います」
わさらー「確かにね。ビットコインも、「何か分からないけどすごい!」みたいになっているけどね、所詮プログラムですからね。評論家の人は、インターネットが犯罪の温床になるといっているんですか?」
黒川「そういう人も多いですよ。某教育評論家とか。名前はいいませんけど」
わさらー「(笑)そうなの。全然ピンと来ないんですけど。まあね、危険……。確かに普通のツールは現実そのもので、例えば銃が一挺あったら単にそれで終わりだけど、ネットのデータはいくらでも無制限にコピーができるし、広がりとか拡散力っていうのが、現実にはなかなかなかったレベルのものかな、と」
黒川「しかも端末さえあれば、そのツールには子供も含めて誰だってアクセスできるっていう。そして、それを親が完全に管理するっていうのは不可能ですからね」
わさらー「そうだよね。やっぱり昔のテレビに近いのかな、とは思うよね。昔はテレビをみんな見ていたから。例えば、今じゃ幽霊とか心霊写真とかUFOとか、信じている人あんまりいないじゃないですか。黒川くんの時代に信じている人多かったか分からないけど、俺が子供のころってみんな大体信じていたね。心霊写真とか心霊ビデオとかのテレビ特集も多くあったし。でもネットが出てきて、あんなものは嘘だというのがみんな分かるようになってきて。何だろう、マスコミはみんなをいくらでも惑わすことができるというか。そこまでできちゃうからこそ、恐ろしいというか。で、ネットだと、さらにそれを個人ができてしまう。そういうの、危険じゃないですか」
黒川「何か、ひとりひとりの個人が集まった、その集合が、ある種の無意識的に惑わせているような結果になってしまうこともありますね。まあそれがネットだと思いますけど」
わさらー「俺たちが遊びで「ワサラー団」とか「帝越グループ」とかやってるだけだったらいいけど、例えば今話題のISISとかが……」
黒川「そうですよね。本当、悪いことをしようと思えばいくらでもできますもん。それがネットだという」
わさらー「YouTubeとかもテロ組織に使われてたりする。テロに使われるのが一番怖いね」

通信の傍受と個人のリテラシー 目次に戻る

黒川「結構深刻な現代社会の問題を斬っていく感じになっていますけど」
わさらー「いやー、いいんじゃないですか? ずいぶん話が大きくなりましたよね。「私たちの売名の仕方」からここまで来るとは(笑)。今、Skypeとかでテロの話しちゃうと多分傍受されちゃうから。Skypeなんかも全部筒抜けなわけですよ。Skype社に、ひょっとしたらアメリカにまで」
黒川「怖いですね」
わさらー「アメリカがいろんなところから情報収集しているって問題になりましたけど、あんなのはどこの国でもやっているわけで。日本はやってなさそうですけど。今って、PS4とかの、ああいうゲームチャットでテロ組織はやり取りしてるらしいですよ」
黒川「はあ、なるほど」
わさらー「あれは傍受されないんで。それも皮肉な話ですよね。ツール……みんなが楽しむゲームというツールで、そういう本物のテロの話をされてしまったりとか。でも、そういうのができるツールって他にもいくらでも探したらあるというか」
黒川「そうですよね。そういうのって細部の話だと思っていて。いくらでも手段なんて見つけられて、いくらでもそれに対する対策は練られてて、対策が練られれば練られるほど新しい手段が発生していくと思うんですよね。本当、イタチごっこというか。むしろもっと本質的な何かがあると思うんですけどね」
わさらー「(笑)いったいどうしたらいいんですか、って感じだなぁ」
黒川「どうしたらいいか、っていったらすごく単純な話で、個人個人のリテラシーの問題なので」
わさらー「おっ、それですね」
黒川「もう何かその、学校とかで教育するとか、実際にどんどん対策していくとか、スマートフォンを規制しようとか、銃規制しようとか、そういうテロみたいなことを話していたら片っ端から逮捕していこうとか、そういう公の話ではなくて。個人がどういう家庭でどういう教育を受けてきたとか、そういう個人個人の、それぞれがどういう道徳を持っているかという話だと思うんで」
わさらー「いやー、もう、本当にそうですね。ネットは、確かにネット自体の浄化作用があるかなと……機能するのが遅いけど。ずっと昔の、俺がTwitterやり始めたころって、パクツイって別に怒られなかったんですよ。Tumblrってサービス知ってますか?」
黒川「知らないです」
わさらー「気に入った文章とか画像を自分のブログに保存しておけるような、そういうものがあるんですよ。何かTumblrは(流行が)来そうで来なかったというサービスで。地味に使っている人は今もいると思うんですけど」
黒川「なるほど」
わさらー「それって、要はコピーして自分のブログに貼っちゃっているわけだから、無断転載といえば無断転載なんですよ」
黒川「そうですね」
わさらー「でも、当時はTumblrにそういう考えもなくて……Twitterにもなくて。気に入った文章があった、だから自分のTwitterで自分のタイムラインに投稿してると。だからあれが「つぶやき」って呼ばれてるのも違和感があったんですよ。あれは「ミニブログ」ってイメージがあったんですね、最初は。俳句を作って投稿している人もいれば、メモにしてる人もいたりとか、いろんな使い方があって。で、今は「自分の考えを話す」のが「つぶやき」だって、やっと決まってきてるけど、そういうのって、だんだん文化として固まってきて、ルールができていくんですよね。」
黒川「みんなが流れを汲んでいくわけですね」

LINEカルチャーの変遷 目次に戻る

わさらー「そうそう。でもLINEもすごいね。またLINEの話になるけど」
黒川「LINEはもう……アレですよ。何というか、Twitterと経過としては似てますね。これ、ひとつの学問として誰かが研究すれば面白いんじゃないかな、って思いますけど」
わさらー「はいはい」
黒川「でも市場価値としては全然ないんで。どこから金が出るんだ、っていう」
わさらー「LINEは昔からやってるんですか?」
黒川「昔からなんですけど、僕は中一(注:2012年)の12月ごろからぼちぼち始めたって感じなんで」
黒川「はいはい。じゃあ初期のころってわけじゃないんだ」
黒川「一応古参といえば古参なんですけど、もっと古参がいるわけですよ。僕より半年前に始めた人とか。その半年間を僕は知らないんですよ。「空白の半年間」みたいな。そこから先は大体流れを見てます」
わさらー「へぇー、どうですか、変遷は。結構感じます?」
黒川「一番最初のころは、わさらーさんが仰ったとおり、みんなが各々の使い方をしているというか、こういう使い方、っていう縛りがなかったんです。「LINE民」といわれるカルチャーにも。そういった幅広い使われ方だったのが、時間の経過を経て、どんどん、「あれ、こういう形じゃないの?」ってみんなが思って、その形に沿って、ある種の一定のカルチャーを形作っていくという」
わさらー「なるほど。じゃあ、具体的には、どう変わったんですか?」
黒川「本当に、流れとしては先ほどのTwitterのふぁぼ界隈と同じだと思いますよ」
わさらー「あー、そうなんだ。まずはグループができてきて……」
黒川「そうです。グループができて、流行って、時間が経過して、結局のところ今現在はそれこそ衰退しているんじゃないの、っていう」
わさらー「でもやっぱり、衰退よりは盛り上がってるって感じがしますね。LINEでつぶやいていたほうが、他人に「いいね!」とかの反応をされる率は高いなと、見てて思っていて。僕も別にTwitterだけの人間というわけではなくて、もともとはブログやったりとかいろいろ「とにかく売名したい!」って生き方なんで。リアルを傷つけずに売名したいなと思ってますね。なかなか難しいんですけどね今の時期は」

ネットでの売名と匿名性 目次に戻る

黒川「わさらーさんは何を目指しているんですかね。リアルに結びつかないのに、何のために売名する必要があるんだろうって、僕は思っちゃうんですよね」
わさらー「何だろうな……。例えば黒川くんみたいに、ネットでこう活動していて、リアルもこうですよ、といってきたのならいいんですけどね。やっぱり過去のネット活動を見られるとき、ごく普通の世の中ではなかなかすぐには認められないものですから。別に犯罪みたいなことしているわけじゃないけど」
黒川「じゃあ、そこらへんのネットとリアルの考えはしっかりしてらっしゃるんですね」
わさらー「そうですね。まあ分けたほうが得というかね、リスクが少ないと」
黒川「なるほど、まあ確かに」
わさらー「ネットって、アレですから。何というか、デジタルタトゥーといって、自分たちの活動は一度広まってしまうとなかなか消せないものですからね」
黒川「そうですね」
わさらー「そこが難しいですよ。だから分けないと、リスタートができなくなる。黒川くんはそういう意味では分けないほうの最初の人間というか」
黒川「僕は度胸があるっていう」
わさらー「度胸あるね」
黒川「新しいことに挑戦していくっていう」
わさらー「やっぱり、顔を出して「僕はこれです」っていったほうが、メディアに出たりとかしやすいよね」
黒川「やっぱりやりやすいですね。全然」
わさらー「そういうメリットもあると。ただまあ、ヤンチャしにくくなるかな、と思って。黒川くんと俺、考え方は全然違って、僕はTwitterとかネットは完全に遊び。自分のリアルの延長線上というよりは、それとは切り離して遊びで、息抜きにやっているっていう」
黒川「いやでも僕もそんな感覚ですよ。僕はリアルも遊びなんで」
わさらー「へえ、そうなの」
黒川「で、いかにそのリアルの遊びを面白くするかっていう。そのツールとしてインターネットを利用しているっていう感じで」
わさらー「それは確かに一緒ですね」
黒川「正直にいって、リアルで社会的にどうなろうと、案外生きていけるんですよ」
わさらー「なるほど」
黒川「ツールの使い方次第によって。それこそインターネットであったりとか。なのであんまりそこら辺を考えていないですね、僕は」
わさらー「まあね。今後はデータを消せるようになっていくのかなと思うけど、逆にどんなデータにもアクセスできるようになるのかな、とも思う」
黒川「まあ確かに、悪い意味でいえば」
わさらー「俺も昔、自分の日記っていうつもりでやってたんだけどね。ブログって、かつては検索に引っかからなかったんですよ。だからURLを知っている人じゃないと絶対見れなかったんで、いろいろ書いていたんですけど、今は検索で簡単に引っかかっちゃうんですね。もう世の中の進歩って恐ろしくて。今はまだ平気だけど将来には全部サルベージできちゃうって可能性もあるから、本当に怖いですよ」
黒川「怖いですね、確かに」
わさらー「だから、例えば黒川くんが「帝越コク」ってのを隠して世の中に出てきましたよ、と。でもネットサービス会社は把握できるから。情報を密かに収集されたりして、見えないところで完全に結びついちゃうんですね」
黒川「それって確かに生きるうえで負い目を持っていくってことじゃないかと思いますけど。でも逆に僕が、自分がデジタルの世界でやってきたことをバーンと出すと、負い目にもなり得ますけど、それを上回るレベルのメリットも僕にはあるんですよね」
わさらー「なるほど」
黒川「で、少し頭を使って考えて、じゃあこれらをどうやって活かしていくかって考えたときに、これはむしろ出していったほうが自分にとって得だな、って判断したんです」
わさらー「そういうの、すばらしいですよね。図らずと出している人って何も考えてないけど、黒川くんはちゃんと考えて「これが一番得だな」と思って出している。ちゃんと考えて動いていない人って、有名とか人気になれないですからね」
黒川「ある程度考えがなければ難しいでしょうね」
わさらー「どういう考えで売名してるんですか?」
黒川「売名自体となると……難しいですね。別に売名してどうなるってことはあまり考えてないですね。売名したところで虚しいだけじゃないですか」
わさらー「本当そうですよね」
黒川「有名になったって……。僕はそれでこそリアルで活動してるんで、有名になってイベントに呼ばれやすくなったりとか、仕事も来やすくなったりとか、そういうメリットはありますけど、ネットのなかだけで売名をいくらしたって、せいぜいアマギフ(注:Amazonギフト券)とか貢いでもらうくらいじゃないですか。」
わさらー「あー」
黒川「いいことないんじゃないですか」
わさらー「そんなこといったら、わさらーの存在は何なの、って感じですけど(笑)」
黒川「でも本当、わさらーさんがさっき仰ったとおり、暇つぶしとか遊びとか、それならそれでいいと思いますけどね。趣味みたいな」
わさらー「本当、そんな感じですよ」

サービスの変化はどこから生まれるか 目次に戻る

わさらー「黒川くんはリアルを楽しくするために、もしくは仕事に繋げるために活動してたかもしれないけどね。まあ自分もゲームみたいな感じですかね。Twitterももともとゲーム的な感じで……フォロワーをどうやったら増やせるかとか。最初は「ふぁぼ」をどれだけもらえるか……「お気に入り登録」のことね、今は「いいね!」になっちゃってるけど」
黒川「これ絶対「お気に入り登録」のほうがいいと思うんですよ。「いいね!」って何だよ(笑)って思うんです」
わさらー「本当ですね。これじゃ「飼ってたペットが死んじゃった」ってツイートに「いいね!」、「いいね!」、「いいね!」だからね。よくないでしょ(笑)。お気に入りは「後で見るよ」っていう感じだけど」
黒川「お気に入りって結構革新的なものだと僕思ってたんですよね。いろんな意味で取られるじゃないですか。これは上手いな、と思ったんですよ。「いいね!」なんかにしたら、辛うじて「いいね!」の前身としてお気に入りがあったから、必ずしも「いいね!」って意味じゃないよっていう解釈はみんなできるんですけど。やっぱりどこか抵抗は覚えちゃいますよね、「いいね!」を押すことに対して。だからこれはもう戻してほしいなと、個人的には思うんですけど。まあ形が変わっただけですけど、それでもちょっと……」
わさらー「まあ、確かにね。でも「いいね!」って、気軽に押せるものでもあるんですよね。「お気に入り登録」だと、お気に入りのツイートしかやっちゃいけないと考える人もいたかもしれないね。「いいね!」だと、ちょっといいねって思ったら押していいって感じだけど」
黒川「なるほどなるほど」
わさらー「そもそもTwitterでのお気に入りって、もともとは自分が後で読みたいってツイートに印つけるためにあったようなものなので、今みたいに、「ふぁぼ」しまくるって、これはおかしい話だと思うんですよ。それじゃあ、ネタツイートでたくさん「ふぁぼ」がもらえるってことの価値がなくなっちゃうじゃないですか。そんなのは、すぐボタン押すような人をフォロワーにしたら勝ちなんで」
黒川「そうですね。それこそ相互厨(注:相互フォローによってフォロワーの増加を図るユーザー)みたいな」
わさらー「そうそう。だからね、そういう意味では「いいね!」っていう概念を作ったのは「ふぁぼ界隈」ともいえなくもない」
黒川「確かにそうかもしれませんね。ちょっと難しいですが、そこら辺の判断は」
わさらー「まあね、私たちの使い方によってサービスの形も変わっていきますよ」
黒川「それこそ「ふぁぼ界隈」っていう、マイノリティーのカルチャーにTwitterの運営がある種対応するっていうのも変な話じゃないですか?」
わさらー「それだけじゃもちろんないと思いますけどね。日本だけだったら可能性あるけど」
黒川「世界中でですからね」
わさらー「うん」
黒川「まあでも、いいのかもしれませんね。これって、あくまで形が変わっただけなんで。そこに深い意味とか、あまりないと思いますし。まあ世界が愛に溢れるっていう(笑)。すばらしいことだと」
わさらー「(笑)形的にはね。「いいね!」は意味としては愛じゃないけど。マークのハートは愛だから」
黒川「一部では「ハグ」っていってるらしいですね、「いいね!」を」
わさらー「どういうことだよ(笑)」
黒川「でも「ハグ」とか、「喜び」とか、Twitter公式の告知PV(注:https://twitter.com/TwitterJP/status/661659581832015878)でやってましたけど」
わさらー「あー、なるほどね。変わりますよ、っていう公式PVでやっていたと」
黒川「結構、頭おかしいな、って思って見てましたけど(笑)。「涙」みたいな」
わさらー「(笑)なるほどね。いってたいってた。そういえばそんなのあったね。何いってんだお前は、っていう(笑)」
黒川「本当本当」
わさらー「こういう意味でも使えますよ、っていう」
黒川「まあ、そうですね」
わさらー「そういえば、LINEのタイムラインでも「いいね!」機能ありますよね」
黒川「LINEではスタンプじゃないですか?」
わさらー「スタンプだね」
黒川「割とLINE民はハートのスタンプを使う人が多いんですけど。それでも自分でいくつかの選択肢から選べるってだけで結構違うと思うんです」
わさらー「確かにね」
黒川「自分で表現ができちゃうっていう」
わさらー「そういうところはすごいね。いいサービスですよね」
黒川「本当にいいサービスです」
わさらー「LINEのスタンプってTwitterでも使いたくなるもん」
黒川「あー、確かに」
わさらー「でもなあ、他にないサービスですよね(注:スタンプと類似の機能に2016年2月にTwitterに実装された「GIF検索」がある)」
黒川「ないですね」
わさらー「でも今後はこんな風に全部のサービスが似てくると思うんですよね」
黒川「似ちゃいけない気もするんですよ。何か、ひとつひとつのSNSの形に面白いものとかいいものがあって。それってそれこそアイデンティティーなんで、ブレちゃいけないでしょ、って」
わさらー「最近……といっても本になるころには時期が外れるけど……TwitterのタイムラインがFacebookと同じになって、人気のツイートしか表示されなくなるって話があって」
黒川「あー、そうですね。あんなのは、本当無駄だと思うんですよ。だって、それはFacebookらしさであってTwitterらしさではないじゃないですか」
わさらー「うんうん」
黒川「SNSらしさっていうのもおかしいと思うんですけど、ひとつひとつのSNSにそれぞれTwitterらしさであったり、LINEらしさであったり、Facebookらしさがあって、それってアイデンティティーであって、ブレちゃいけない。そのアイデンティティー自体を好きで、そのSNSを使っている人たちがいるんですから、その期待を運営が裏切っちゃいけないと思うんです」
わさらー「そうですね。サービスの差別化ができなくちゃね」
黒川「本当、そうですね」
わさらー「みんな同じならそこで単にユーザーの取り合いになっちゃう」
黒川「むしろどうせ同じようにやるなら全部合併すればいいんじゃないかと」
わさらー「(笑)本当だよね。ただ、使い方的には近いのかな、と思っていて。今ってもう(Twitterで)フォローのタイムラインって見ないじゃないですか」
黒川「見ないですね」
わさらー「(大体の人は)リスト管理してるじゃないですか。それって、普通にタイムラインで面白いツイートだけ表示されるのと何が違うのかなって思ったときに、それを標準化させてくんだったら、純粋な進化というか、正しい動きかな、と俺は思った」
黒川「あー、なるほどなるほど。でもどうですかね、リスト管理してツイート見ている人って、現時点だと案外少数派なんじゃないですか?」
わさらー「ああ、そうか」
黒川「多くの人がホームでタイムライン見てると思いますけど。僕たちのほうが少数派だと思いますよ」
わさらー「俺たちは廃人だから」
黒川「(笑)そもそもタイムラインとか見ないですし」
わさらー「そうだね。Twitterって、廃人の使い方を先に見て、次はこういう風に持っていけばいいんだなという感じで動いているような感じがするんですよ」
黒川「そうですね」
わさらー「だから、そういう意味では俺たちが変えたんですよ(笑)」
黒川「なるほどなるほど」
わさらー「Twitterの文化に関しては、例えば下ネタをTwitterでつぶやいてもいいんだって思わせたのは……これいうと結構アレになりますけど……私わさらーがTwitterで一番下ネタをいうユーザーだったんですよ。下ネタのワードだけ抽出してランキングするサービスがあって。昔はTwitterの全ユーザーを把握できていたんですね」
黒川「そんなに少なかったんですか?」
わさらー「そうそう。だから全Twitterユーザーのなかで一位になってたわけです、下ネタツイートの回数で」
黒川「(笑)すごいな」
わさらー「そういう意味では、俺たち……そのランキングの上位者が、Twitterで下ネタをいっていいんだ、っていうような土壌を作ったと。最初はTwitterで下ネタをいおうものなら引かれてましたよ、すごく」
黒川「Twitterでもそうだったんですか」
わさらー「そうそう。LINEでも?」
黒川「……でももはやインターネットで何いおうが別に……僕が引くことは絶対ないですけど。廃人だからなのかな……、一般から見たらやっぱり引いちゃうのかな。どうだろう」
わさらー「そうですよね。一般の人たちは仲間同士でしか、ね」
黒川「はい、Twitterでも。じゃあLINEやれよ、って思いますけど。で、TwitterはTwitterらしさ、面白さがありますよね。例えば「ニュース」ってところ見ればニュース知れたりとか、この人は誰をフォローしてるんだろう、とかいうことを知れたりとか。そういう面白さはありますけどね、やっぱり。個人個人の問題ですよ、まあ」
わさらー「本当に、ツールをどう使うかですよ。最近はみんなTwitterつまらないっていって、だんだん離れていってますけど。でも今のTwitterは本当に面白いですよ」
黒川「面白いですよね」
わさらー「うん。何だろう。やっぱりネタツイートもすごく溢れてるし、ちゃんとネタツイートしたらほめられるって仕組みも整ってるからみんなつぶやくからね。あとは、画像とか動画とか。昔は画像とかを前面に押し出したサービスとか、ちょっと嫌だなって思ってたんですけど、やっぱり画像のほうが面白いですよね」
黒川「まあ確かに」

リアルとネットの関係性 目次に戻る

黒川「僕はまあ、活動範囲をリアルのほうに切り替えたじゃないですか、実名顔出しで(注:本名は黑川祐希)。で、実名顔出しでTwitterを本格的にやることって、なかったんですよ、これまで。でも、割とこれが面白くて。芸能人とか、著名な人とかとTwitterで絡んだりできたりとか、あと実際「今どこいるの?」って感じで忘年会に誘われたりとか。そういう、あっ、本当にリアルとネットってこんなに密接なんだ、というか同じなんだ、っていうことを改めて実感しましたね」
わさらー「なるほど」
黒川「楽しみは増えましたね、自分は」
わさらー「新しい楽しみになりますね」
黒川「新しい楽しみ」
わさらー「「帝越コクくん」だと誘いにくいもんな(笑)」
黒川「そうですね。「一般界隈」ならではの楽しみ」
わさらー「確かにね」
黒川「「一般界隈」って言葉も正しいのか分かんないですけど(笑)」
わさらー「たまに俺たち(狭義のツイッタラー)と区別して使うけどね。お前ら一般人じゃないのかよって(笑)。どこの目線から見てんだ、って話で」
黒川「いやまあ、ふぁぼ界限(注:「ふぁぼ界隈」の別名)の人間ですからね」
わさらー「ふぁぼ界限のね(笑)。彼らは名前出しちゃっていいんかね、ふぁぼ界限の人たち」
黒川「ふぁぼ界限から、何かリアルに活かせる人ならいいんじゃないですか。まあそれも個人の人生ですし、個人の勝手なんで。僕たちが口出せるものじゃないですけど」
わさらー「(下手すると)自宅を特定されてバットとか持った人に集まられちゃうからね。俺あれ(注:界隈で有名ないわゆる「5・11事件」)見て、個人情報を出すのありえねーな、って思ったけど」
黒川「(笑)どうなんですかね。(5・11事件の被害者も)アマギフとか、ぼちぼちもらってるんじゃないですか、知りませんけど」
わさらー「いやでも、アマギフもらうんだったらTwitterとかであんなに頑張らないで普通にバイトしてたほうがいいですよ」
黒川「確かにそうですね。僕も、一回イベント出てもらえる謝礼が、Twitterで頑張って集めたアマギフの額とあんまり変わらないっていう」
わさらー「そうそう、リアルで仕事してたほうがいい」
黒川「はい、仕事したほうが全然、効率いい。リスク背負って頑張っちゃうよりは」
わさらー「本当ですよね」
黒川「まともに仕事しろよ(笑)って思います」
わさらー「そうそう。ネットでの遊びの延長線上でお金が入った、ならいいけど、お金儲けのためにTwitterとかやるのって、違うかなと」
黒川「違いますね」
わさらー「ガチでアフィリエイトやるなら別ですけど」
黒川「(笑)ガチでアフィリエイトやる(笑)。ツイッタラーで、ガチでアフィやれてる人っているんですかね」
わさらー「一応過去にいたんですね」
黒川「いたんですか」
わさらー「○○さんとか」
黒川「あー、結構有名な人ですよね」
わさらー「そうそう。いわゆるアルファツイッタラーっていう。面白いツイートに混ぜてアフィリエイト広告入れてて。その人が唯一成功してるな、と」
黒川「上手い感じに稼げてる人ですか」
わさらー「うん」
黒川「はあ。なんだかなあ」
わさらー「でもね、やっぱり大変だからね。遊びや実験でやるのならまだしも。働いたほうがいいですよ、普通に」
黒川「あんまり夢は見ないで、っていう」
わさらー「そうですね。どうですか?」
黒川「何だろう。やっぱりSNSって可能性あるじゃないですか。誰だってSNSで「俺何かできるかもしれない!」って期待すると思うんですよね。でも難しいというか、容易なことではないじゃないですか、SNSで成功して、それをリアルのほうに展開させていくのって。だからやっぱり、SNSに夢を見て、そこに可能性を見出して、ってのはいいですけど……そこから実際にどんどん展開していこう、っていうのは、かなりのリスクを背負う行為というか、危険も伴うことなんで、ちょっと考えてやったほうがいいんじゃないかな、と」

これからの黒川祐希 目次に戻る

わさらー「今後はどうしていくんですか、黒川さんは」
黒川「僕は今後は……まったく考えてないです。そのときになったら決める、っていうこれまでのスタンスを保ち続けていきたいと思います」
わさらー「僕も思いついたことをそのままポンポンやってますから(笑)」
黒川「それが一番ですよ」
わさらー「なるほどね」
黒川「はい。何か面倒なことを考えるのが一番面倒なんで」
わさらー「それはそうですね。そうか……。じゃあ展望はないんだ」
黒川「ないですね、そういうものは」
わさらー「ところで、今面白いことしてるそうじゃないですか」
黒川「ああ、「お散歩企画」ですか」
わさらー「そうそう、お散歩企画。ちょっとどういう経緯か教えてもらえますか?」
黒川「今日イベントの謝礼が(銀行口座に)落とされるんで、そのお金で今年度(注:平成27年度)中には四国のほうに飛びたいと思っています」
わさらー「おお、完全ひとりで」
黒川「はい、ひとりで」
わさらー「ずいぶん長いですね」
黒川「(笑)夜行バスで四国へ」
わさらー「謝礼が振り込まれるから、(行っても)大丈夫ってこと?」
黒川「謝礼は今日中に振り込まれるんで、そのお金で」
わさらー「なるほどね。ご両親は大丈夫なの?」
黒川「多分大丈夫です」
わさらー「多分大丈夫(笑)。いってはあるんだ」
黒川「いってはあります。把握もされてます。親も僕のTwitter見てるんで」
わさらー「あ、そうなの?」
黒川「はいはい。そりゃ本名……実名でやってるわけですから」
わさらー「それなら安心っちゃ安心ですね」
黒川「これも全部Twitterのおかげですかね、TwitterやLINEの。人脈というか……」
わさらー「ああー」
黒川「ちょっと知り合いに「明日泊めてくれない?」みたいな。そういうので全部泊めてもらってますから」
わさらー「じゃあ、今「家出企画」(注:五日目で失敗)をしているわけだね? ひとりでどこまでいけるかと」
黒川「はい。何日間でかと」
わさらー「今何日目なの?」
黒川「まだ三日目です」
わさらー「まだ三日目か」
黒川「(平成27年12月27日)夜に出たんで、まあ時間的にいったら実質二日目ぐらいですけど」
わさらー「あー、なるほどね」
黒川「微妙なラインですね」
わさらー「じゃあ、泊めてもらってたりする人たちはバラバラなの?」
黒川「バラバラですね。日々転々としてるっていうか」
わさらー「すごいね。どんな人脈ですか」
黒川「いや……。でもわさらーさんでもやったら相当行けますよ」
わさらー「えー、そうかなあ」

わさらーの目的 目次に戻る

黒川「行けます行けます。わさらーさんだって知名度あるじゃないですか」
わさらー「知名度だけはね。名前だけは知ってるって人は多い……」
黒川「割とSNSとかでの、ソフトな感じで触れてる著名人の方々もわさらーさんのことは知ってますもん。「わさらー」というのは聞いたことがある、って」
わさらー「すごいな(笑)」
黒川「「ワサラー組」(注:原文まま)ってのは聞いたことがあるけど、それと君のグループは繋がりあるの? って、そういう風に聞かれますもん。」
わさらー「ええー。しかも繋がりあるし」
黒川「実際ありますし」
わさらー「それうれしいですよ」
黒川「そういうのは面白いですよね。ああ、繋がってるなあ、っていう」
わさらー「それが目的……じゃないけど、一応、私のTwitterのゴールは、電車とかどこかでわさらーの話をしている人を目撃する。これなんですよ。目撃したらもういいや、って思っていて。やめると思うんで。ただね、俺が直接目撃したってことはないから、これはキツいな、と思って(笑)」
黒川「コミケ(注:コミックマーケット)とか行けば、即、じゃないですか?」
わさらー「そうかなー」
黒川「コミケ行ったらすぐですよね」
わさらー「コミケでわさらーの話するかな?」
黒川「はい」
わさらー「有名な人同士でいろいろやってくと、やっぱりそれって拡大していくからね。今度(平成28年1月17日)、「ふに(妹)」さんっていう有名歌い手とライブしますけど」
黒川「ふに(妹)さんも超有名歌い手ですよね」
わさらー「え、知ってた? もともと」
黒川「もちろん知ってますよ。面白いですもん」
わさらー「面白いですよね」
黒川「中二のときにずっとニコ動(注:ニコニコ動画)見てて、ずっとふに(妹)さんの替え歌とか聞いて笑ってました」
わさらー「ああ、本当。そりゃ相当知ってるよね」
黒川「もう廃人ですよね」
わさらー「あの人、神だからなあ。ふに(妹)さんはね、もともとわさらーのファンというか、ツイッタラーで、(ふに(妹)の)フォロワーが200人くらいのころから、俺にリプライとかバンバンしてくるやつで」
黒川「そうだったんですか!」
わさらー「ただの声かけてくるやつかと思ってたら、急にフォロワーが二万とかいってて……」
黒川「歌い手になって」
わさらー「そうそう、歌い手で、人気になり始めたころでね。びっくりしましたよ。でも、ふに(妹)さんは謙虚だからね。普通、やっぱり有名になったりすると……」
黒川「ちょっと調子乗りますよね」
わさらー「そうそう。そうやって「は? わさらー? 知らねえよ」みたいになる人もいるけど。(彼は)わさらーさんどうも、みたいなこといってくれて。うれしいですね」
黒川「(ふに(妹)の)「固定されたツイート」で「お知らせ」とか書いてあります。「一説では構成員50万人ともいわれるTwitter最大の団体ワサラー団。彼らを統制し、また絶大な信頼を受ける名実共にTwitterのキング、俺がつぶやけばTLが揺れる。でお馴染みのわさらーさんとのイベントを開いていただけることになりました」」
わさらー「ヤバいわ(笑)」
黒川「これ大丈夫なんですか、集客。まあでもふに(妹)さんがいますから、すごい集まりそうですけど」
わさらー「どうなのかな……。ふに(妹)さんもあんまり宣伝してないから。(事実上)Twitterやめてるし」
黒川「Twitterやめてるんですか?」
わさらー「ニコニコ動画もあんまり……(更新されていない)」
黒川「でもぼちぼちやってますよ。昨日もわさらーさんとリプライ交わしてるじゃないですか」
わさらー「でも、昔はもっとバンバンやってたし。ニコ動での動画投稿も、一回は引退しますって。やめちゃってるんで」
黒川「なるほど」

動画コンテンツの可能性 目次に戻る

わさらー「黒川さんも何か……。この対談とかもニコ動(にアップロードしたり)とか、どうですか?」
黒川「どうだろうなあ……。いや……最近、僕疲れているんですよ。家で寝てるのが一番いいっていう。悟っちゃって」
わさらー「ああ……、いや、でも、いいですよ。(やるのなら)僕が編集しときますから」
黒川「あ、そうですか?」
わさらー「ああ」
黒川「じゃあ全然。ぜひぜひ」
わさらー「動画ってすごい、って思ったのは、自分が寝てても勝手にやってくれるじゃないですか。(投稿後は)勝手に(視聴者が)自分のことを好きになってくれるし、自分の考えを知ってくれるし、っていう。だから動画はすばらしいなって思って。だから「指先イマジネーション」って歌……わさらーが作った(歌った)やつ、ありますけど。黒川くんもやりましょうよ」
黒川「何か、やりますか」
わさらー「何か……創作活動は面白いですから。何かやるってのは」
黒川「そうですね。まあ何かあるでしょう」
わさらー「そういう企画、ないですかね。まあ今の「散歩企画」がめっちゃ面白いから」
黒川「とりあえず、散歩終わったらですね」
わさらー「なんで四国なの?」
黒川「まあ、何となくですよね。とりあえず本州から逃げようと」
わさらー「海外行こうよ」
黒川「海外ですか(笑)。パスポート偽造しますか(笑)」
わさらー「そうか、パスポートか(笑)。そこの問題があるの」
黒川「はい、そこの問題がちょっと」
わさらー「なるほどね。でも、本州から逃げるっていうので四国へ、っての初めて聞いたんだけど(笑)。九州とかじゃないの」
黒川「ゴキブリが……ちょっと……大きいらしくて。でも冬にもいるのかな?」

環境問題を語る 目次に戻る

わさらー「そういえば日本もだんだん熱帯に近づいているらしいですね」
黒川「そうですね。そこら辺の詳しい話はよく分からないですけど」
わさらー「何かね、でっかいゴキブリが出るようになってるらしいですよ、本州でも」
黒川「へー……怖」
わさらー「地球温暖化ってどう思います?」
黒川「どうですかね……。まあこんなもんなんじゃないですかね。実際は長い目で見たら温暖化してるのかもしれませんけど……。実感としてはあまり分からないです」
わさらー「「温暖化はウソだ」っていう論調が流行った時期もあったんですけど、そんなことはなくて、純粋に温暖化してるんですよ。だから我々もエネルギーとか、ちょっと気をつけて生きていかなきゃいけないね」
黒川「……何だろうな、自分が死んだ後の世界がどうなろうと、正直僕はあまり関係ないな、と思っていまして」
わさらー「まあね、確かにね」
黒川「少なくとも僕が生きてるあいだには地球温暖化の直接的な害を受けることはない(と思う)から、別にそれはいいんじゃないかな、と思って。すごく自分勝手な考えですけど」
わさらー「いやいやいや、分かるよ。俺だって……」
黒川「みんなこんなもんなんじゃないかな、って思うんですよね。本当は」

死生観と理性 目次に戻る

わさらー「だって俺は死んだって別に葬式やってくれなくていいもん。ビニール袋に俺の屍体詰めてゴミ捨て場にポイでいいよ」
黒川「本当、そうですよね」
わさらー「どうせ分かんないもん」
黒川「死んだ後なんてどうでもいいですもんね」
わさらー「そうそう。ですけど、我々は子孫残すために生きてますから」
黒川「でも、どうなんですかね……。遺伝子レベルでは確かにそうなのかもしれませんし、それこそが種の……なんていうんだろう、種のある存在意義みたいなものだと思いますけど、別にその、理性があるのに遺伝子レベルに組み込まれたものに従って生きていくのも面倒くさいなあ、と思って。何のための理性だよ、って感じですよね」
わさらー「あー」
黒川「でも、分かりきったことじゃないですか、そんなのは」
わさらー「要は、子供が辛い思いするってのは嫌だなあ、というのが理性というかね」
黒川「ですから、子供は作りたくないんですよ」
わさらー「そういうこと」
黒川「そういう感情が嫌なので」
わさらー「そうなのか」

年齢を重ねて変わること 目次に戻る

わさらー「いやー、世の中……。でも日本も上手くできているなと思って。俺もだんだん年齢上がっていくにつれて、ゲームばっかりしてたら……昔ってさ、ゲームが上手かったり、ネットとかで有名だと、ほめられるんですよ。すごいなと。だから俺もゲームやりまくってきたし。でも、大人になってくると、なんでそんなことやってるの、って(周囲が)なってくるんですね。だらしないな、みたいな。だからまあ、両方やるのが一番なんですけど。自分もなるべく両方を頑張ってましてね」
黒川「なるほど」
わさらー「大人になってくると分かるようになってくるというか、多分、強迫観念じゃないですけど、子供を産まなきゃまずいなとか、仕事は絶対頑張らなきゃまずいなとか、出てくるのかなという感じです」
黒川「なるほど、確かに」
わさらー「黒川くんとか、若いからこそ分かることってのがいっぱいあると思う」
黒川「どうだろうなあ。僕、生まれたときからずっと若いんで、まだ」
わさらー「まあまあ、まだそうですね」
黒川「若いからこそ分かることってのが分からないんですよね」
わさらー「当たり前のことだから」
黒川「当たり前なんで」

「デジタルネイティブ」の作る未来 目次に戻る

わさらー「「デジタルネイティブ」世代ですからね」
黒川「俗にいう」
わさらー「そうそう。デジタルネイティブの人たちがどう出てくるのかっていうのが……。最近じゃキーボード打てないっていう人もいるらしいですね」
黒川「へぇー。僕はたまにノートパソコンとか使ったりしているので。みんなも少しは打てるんじゃないですか?」
わさらー「そうだよね」
黒川「でも、僕のクラスメイトとかでも、キーボードを打つときにひとつの指でつついて打っている人とかいますもん」
わさらー「やっぱり、スマホ世代だとね。スマホで全部完結しちゃうからっていう……。フリック入力でね」
黒川「でも、別にいいんじゃないかな、そうなったら。そしたらノートパソコンとかじゃなくたって、スマホだけで仕事が完結するような……。誰かが開発してくれるでしょうし」
わさらー「本当、そうですよ。そうなっていくのかな、って思っていて」
黒川「それならそれでいいと思うんで、僕は」
わさらー「だからiPad Proとか、そういうのでね。(そういった時代に)近づいていっていて面白いな、と思ったけど」

「ふぁぼ界隈」はどうできたか 目次に戻る

わさらー「じゃあ、そろそろまとめに入ります?」
黒川「そうですね、時間的にもう(注:ここまでで53分)」
わさらー「どうでしょうか?」
黒川「どうですか? あんまりSNSに関する話、そんなに……。いや、したのか」
わさらー「したかな。まあ僕らにとっては結構当たり前な話だよね。初めて聞く人には新鮮なのかもしれないし、そういう意味では、本当はもっと話したいことはいろいろありますよ」
黒川「そうですね。初めて……まったく知らない人が聞いたときに、まず「ふぁぼ界限」って何? って話になりますもん」
わさらー「そうだね。説明とか入れないと(笑)。「お気に入り登録」をお互いにし合って……。って、ふぁぼ界限っての、ふぁぼ界隈ってのの定義って何だと思います?」
黒川「分かんないです、僕は」
わさらー「俺は、一応お気に入り登録を、(同じ)団体に属しているって理由でお互いにし合って、お気に入りを増やそうって意志を持った人ってのが……」
黒川「あ、団体に属している人なんですね」
わさらー「うん。それが定義かなと」
黒川「あー、なるほどなるほど」
わさらー「団体に属していないでふぁぼしまくる人だと、何かちょっと「ふぁぼ界隈」と違うかなと」
黒川「「ふぁぼ魔」みたいな?」
わさらー「(「ふぁぼ界隈」の人々も)「ふぁぼ魔」ではあるけど……。「ネタクラスタ」との違いが、すごく難しくて」
黒川「なるほどなるほど」
わさらー「「ネタクラスタ」=「ふぁぼ界隈」っていうとちょっと違うかなと思っててね」
黒川「確かにそれは……」
わさらー「もともとは、Twitterの歴史を作ってきたのって「ネタクラスタ」だと思っていて。「Favstar」って知っていますか?」
黒川「はい」
わさらー「おー、詳しいですね」
黒川「そりゃ、Favstarはみんな知っているんじゃないですかね」
わさらー「そうかな?」
黒川「はい」
わさらー「Favstarってのは、昔、被ふぁぼが多い人の上位50人が(サイトに)表示されてたんですよ。だから、そこに載っている人がTwitterで有名な人、っていう暗黙の了解が成立していたと。だからみんな本気出してたんです。あそこに載りたい、と」
黒川「なるほど」
わさらー「で、どうやったらふぁぼを稼げるか、で、それがだんだん「相互にふぁぼり合えばよくね?」っていう意識に達する。そういう人たちがいて……」
黒川「で、馴れ合いのほうに進んでいくという」
わさらー「そうそう。で、副アカウントでの大量ふぁぼってのもそれまでなかったし、そのためのツールもなかったから純粋に面白い人たちしかふぁぼをもらえなかった。そこから、策略的にふぁぼをもらえるようになってきた。Twitterに本気出す人も昔はそんなにいなかった」
黒川「あー。じゃあ、みんなわさらーさんみたいな感じだったんですね。意識としてはみんな暇つぶしとか」
わさらー「いやー、でも僕は暇つぶしにしては本気出してますよ」
黒川「(笑)確かに」
わさらー「だから、遊びは遊びだけど、遊びのなかでは本気っていうのが、一番楽しいですかね」
黒川「本気で遊んでいる、っていう」
わさらー「そうそうそうそう。ゲームとかだってね。ゲーム自体、本気でやらなきゃ先へ進めないですから」
黒川「……確かに」
わさらー「ゲームとかはあんまりしないんですか?」
黒川「あんまりしないですね」
わさらー「あー、いいっすねー。変な思想にさえ染まらなければ、すっごい立派な人になれるんじゃないですか?」
黒川「そうですか? どうでもいいですけど、僕は」
わさらー「まあね、立派な人になろうってのも特にないわけだ」
黒川「はいはい。何も考えていないんで」
わさらー「なるほどね。まあ、これからの日本は大変になると思いますけどね」
黒川「適当に頑張りますわ」
わさらー「(笑)まあ、今の……四国行ったりとか、いい経験になるんじゃないですか?」
黒川「そうですね、確かに」
わさらー「いい経験していきましょうよ」
黒川「そうですね、お互い。頑張りましょう。適当に」
わさらー「頑張りますか!」

SNSユーザーにひと言 目次に戻る

わさらー「じゃあ、SNS頑張ってる皆さんに、何かひと言お願いします」
黒川「SNSは、楽しいよ」
わさらー「(笑)そう、楽しい。いいっすね。名言だなこれは」
黒川「……夜更かしはしないように、っていう(笑)」
わさらー「やっぱ夜は寝たほうがいい」
黒川「夜は寝ろ、っていう」
わさらー「早く寝るんですか? 黒川さん」
黒川「いや、僕は(ほとんど)寝ないです。自分の経験を基にした……」
わさらー「寝ないとどうなるの?」
黒川「寝ないと、まず身長が伸びないです。あと目が悪くなる。最悪ですから」
わさらー「コンタクトなの?」
黒川「いや、僕はコンタクトじゃないですけど。裸眼で頑張ってますね」
わさらー「こだわりがあるんだ、いろいろ」
黒川「こだわりありますね。そういう人間なんですかね」
わさらー「こだわり大事ですよ。プロ意識」
黒川「プロ意識(笑)。意識高いですね、ちょっと」
わさらー「何というかね、黒川くんとかも、パッと見意識高い系……」
黒川「意識高い系ですよ」
わさらー「政治活動とかね。まさか、帝越コクのときの……俺が何かいうたびにめちゃくちゃ煽ってきたあの個体というか人が、こんなまともな、というか……」
黒川「分かんないですよね、インターネットは。分かんないです」

解説 ~ツイッタラーとは何か~ 目次に戻る

 本文中で黒川は、ツイッタラーの世界について「『そういう世代があるんだな』って予想はつくし、想像はできる世界 」と述べた。

 しかし、下は小学生から上は壮年までの幅広い年齢層で構成され、個々人で楽しみ方も異なるこの世界について、触れたこともない人々が正確に予想できるかといえば、おそらくできまい。この界隈にいる当事者でさえ、「自分のいる世界って、いったい何なんだろう?」と考えてみたことのある人はそう多くはないはずである。

 そこで、本書では解説として、「ツイッタラー」たちの世界について、簡潔に述べてみることにする。なお、「LINE民」の実態については、本会への取材記事のURLを後述しておくので、そちらを参照されたい。

 本文中での「ツイッタラー」の意味への言及は、注釈において「Twitterユーザー。ここでは狭義 」とするに留めたが、狭義のツイッタラーについて、現時点で明確な定義はない(Webメディア『Gigazine』において「Twitterer」を、Twitterで金を稼ぐ者とする記事があったが、一般的な解釈ではない)。本稿では、「主にハンドルネームを用いて、面識のない他者との交流を主目的とするTwitterのヘビーユーザー」と定義する。

 狭義の「ツイッタラー」が指す範囲は、匿名クラブの楠田このみ常務理事が著書で「Twitterユーザーのなかでもふぁぼ(お気に入り登録)に重点を置く者」と呼んだことからも見られるとおり、「ふぁぼ界隈」と概ね合致する。「ふぁぼ界隈」については本文中でわさらーが「お気に入り登録を、団体に属しているって理由でお互いにし合って、お気に入りを増やそうって意志を持った人」と説明したが、「ツイッタラー」は必ずしも団体に所属する者を指すとは限らない。ただし、Twitterで交流を広めるために団体が有用なのは確かだ。こうした団体の業界団体である「ツイッタラー団体連合会」も、このような団体の呼称を「ツイッタラー団体」と定めている。

 「ツイッタラー団体」の組織形態も一様ではない。わさらーが事業を統括する匿名クラブ「ワサラー団」コアブランドのように、多くの構成員の獲得を目指すところもあれば、特に親しいユーザー間のみで組織された団体もある。

 いずれにせよ、「ツイッタラー団体」の主な目的は構成員間の親睦だ。入会をきっかけに他の構成員と知り合い、Twitterで会話を楽しんだりして過ごす。なかには実際に会うオフライン・ミーティング(オフ会)をする者もいるし、交流が男女の交際関係に発展するということもある。今年はツイッタラー団体がきっかけで婚姻に至った夫婦も誕生し、一部で話題を呼んだ。

 各団体の活動は、親睦を深める他にもさまざまである。多くの団体では、しばしば何らかの企画が催される。ハッシュタグを用いた「大喜利」や、イラストコンテスト、ゲーム大会などがある。年末年始や夏休みシーズンなど、長期休業期には盛り上がりを見せる。

 構成員個々人の目的も三者三様である。わさらーが説明する「ふぁぼ界隈」のように、「いいね!」の増加を目的とする者、団体指導者への私淑の念から加入する者、親睦を目的とする者、団体内で目立つことで売名を狙う者など、それぞれ多種多様な意志を持って加入する。

 これまでヴァーチャル・コミュニティは共属感情を生み出すものであるとして、感情的結合による共同社会であるゲマインシャフトに近いものであると考えられてきた。しかしツイッタラー団体には明確な目的を持って入会する者がおり、団体そのものにも何らかの目的があることも多いため、ゲゼルシャフトとしての面も多分に持ち合わせている点が特徴的といえよう。

 もっとも、ツイッタラー世界、ツイッタラー団体に欠点がないわけではない。

 北海道大学の森岡武史によると、ハンドルネームを使用する「仮名的匿名性」下では、「各参加者のアイデンティティーをオフラインとは異なるものへと付け替え」、「参加者は固有のアイデンティティーを有する『キャラクター』として互いを認め合っている」という。そして、「『キャラクター』のアイデンティティーに基づくメンバーシップが形成され集団の境界が形成」されることによって、ヴァーチャル・コミュニティは「逸脱者が排除され、集団内部の秩序は仮名的匿名性にも関わらず維持される」とした。

 しかし、ツイッタラー団体においてはいくぶん異なった様相を呈する。

 まず、Twitterという開かれたプラットフォームを用いる以上、ツイッタラー団体は十分な「境界」たり得ず、外部からの介入や妨害が比較的容易となる。また、ツイッタラー団体自体も開かれたコミュニティであるから、逸脱者の排除は徹底できない。

 加えて、「転生」と呼ばれる風習があることも、こうした一般的なヴァーチャル・コミュニティと異なる状況をもたらす要因といってよい。転生とは、簡潔にいえばTwitterアカウントを移転することだ。このとき、ハンドルネームごと変更する場合と、そうしない場合がある。ハンドルネームを変更した場合、それまでのキャラクター、すなわちアイデンティティーを喪失する。そのため、ツイッタラー団体にはニューカマーが転生者、逸脱者であるかの判別は通常つかない。

 このことは森岡のいう「無名的匿名性」と共通するように見えるが、それと決定的に異なるのは、アイデンティティーを持つキャラクターを再構築することが極めて容易であるという点だ。転生後も交流を続けたい人がいれば、個人的に「こちらに移ります」と声をかければ基本的に関係は継続されるし、また別の人との関係を作ることも困難ではない。

 つまり、悪意あるツイッタラーは、転生によって「無名的匿名性」的にコミュニティ側をまやかすことが可能な一方で「仮名的匿名性」的な交流を維持できるということだ。こうした構造のなかで、ツイッタラー団体は常に累卵の危うきにある。

 ツイッタラー世界においてもうひとつ重視すべきは、ツイッタラーにとって、コミュニティは「代えが利く」存在という点である。ひとたび問題が発生すれば所属団体を脱退し、別の団体に所属したり新たに団体を設立すればいい。

 それゆえ、ツイッタラー団体とはその本質からして流動的である。そうしたなかで組織を維持していくためにはさまざまな努力が求められる。幸いなことに、私が事業を統括する匿名クラブ「匿名クラブ」コアブランドは現在に至るまで順調に会員数を伸ばしており、現時点での推定会員数は7000人と国内最大級に達しているが、これについては別の機会に詳しく述べることとする(なお、本文中に同会「ワサラー団」コアブランドの団員数が50万人との記述があるが、実際は約5000人である)。

 もっとも、ツイッタラー団体に嫌悪感を覚えるツイッタラーも少なからずいる。くり返すが、通常コミュニティは共属感情という繋がりで成り立つ仕組みだ。これは内部に対して情緒的一体感を持つ反面、外部に対し敵対心もしくは無関心といった態度を取る。前述のとおり、ツイッタラー団体は従来のヴァーチャル・コミュニティにいえたゲマインシャフト的性質を持つ一方で、ある程度ゲゼルシャフト化した構造を持つ。いうまでもなく、これらは本来相反する性質を有するものである。ゲマインシャフト的な従来型ヴァーチャル・コミュニティの一員たる非ツイッタラー団体構成員らの持つ、ゲゼルシャフトへの敵対心または反動から起こる悪感情は、会社、学校、社会およびその象徴たるエスタブリッシュメント、唐澤貴洋などと並んでツイッタラー団体に向けられる。このため、ツイッタラー団体が批判されることも多く、ときにはツイッタラー団体をめぐって小競り合いも発生する。

 同様に、組織化の進んでいない、または小規模な、つまりゲマインシャフト的組織が、ゲゼルシャフト的要素を持つツイッタラー団体と対立することもある。2014年には、そのような「少数精鋭」の団体が界隈を混乱に陥れた。これ以降、団体間の目立った「抗争」は発生していない。

 現在では、本文中で言及のあった「相互厨」、相互フォローによってフォロワーの増加を図るユーザーが人気を集めている。しかし、ツイートのお気に入り登録=「いいね!」数が人気指標として定着したため、過去の他ユーザーによる人気ツイートを転載、またはリライトして多くの「いいね!」の獲得を狙う者も増えており、しばしば問題となる。その一方で、ほとんど意味を有さないツイートを仲間内で転載し合ったり、リプライで送り合う(俗に言う「キチリプ」=気狂いじみたリプライ)というTwitterの楽しみ方も一部で存在する。

 ここまで、ツイッタラーの世界について掻い摘んで解説した。もちろん、ここに書いたことは全体のごく一部であり、狭義の「ツイッタラー」にまつわることを網羅できてはいない。今後も著書やWebマガジン上で発信していきたいと考えているが、まずは実際に体験するのが、読者諸氏にとっても理解しやすいだろう。私が理事長を務める匿名クラブでは、「ワサラー団」を含め7つのTwitterユーザー向けブランドを有している。より深くツイッタラーの世界を知りたいと考える方にはぜひ加入を検討いただけたら幸いである。

  ■『匿名クラブ』 https://www.tkm.club/assoc/

  ■本会取材記事 http://kakeru.me/twitter/snl-mikagoshi/

あとがき 目次に戻る

 本書の題名でもある「デジタルネイティブはどこへ向かうのか」。対談内で、彼らはこの問いに具体的な答えを出さなかった。

 わさらーは現在20代中盤。日本で商用インターネットが開始され、一般人の前にインターネットがじわじわと姿を表し始めた時期の生まれ、デジタルネイティブの第一世代にあたる。対する黒川は現在16歳。小学生のうちにスマートフォンが登場した世代、今をときめく「スマホネイティブ」世代である。

 私が「デジタルネイティブはどこへ向かうのか」という書名を提案したのは、彼らそのものがどこへ向かうのかまったく分からなかったからだ。本書に目を通してもやはり理解不能であるが、少なくとも彼らが考えなしに行動を起こすような卒然とした人間でないことは、私のみならず読者諸氏にも理解いただけることであろう。

 私が初めてわさらーを知ったのは、確か2013年であったように記憶している。ブロガーの楠田このみ・匿名クラブ常務理事が著書で「団体戦国時代」と称したように、大小のツイッタラー団体が多数存在した時期になる。当時から、彼は「アルファツイッタラー」と呼ばれ、人気を博していた。だが、私はどうも彼が嫌いでならなかった。なぜそうだったかはすでに記憶の彼方であるが、とにかくまったく好きになれなかった。

 転換期は2014年、界隈にも大変動が起きた年だ。私は匿名クラブでサイトマスターの役に就いていた。当時、わさらーは「ワサライブ」なる音楽・トークイベントを企画しており、その特設サイトの制作を私に依頼してきた。彼は当時から匿名クラブの副会長をしており、断る理由もなかったので、それを引き受けた。同時に、そのころはまだ別団体であったワサラー団の役員に任じられることになった。これが彼との関係の始まりだった。

 わさらーの手法はしばしば批判の標的になる。そもそも「ワサラー団」は「わさらーの売名」を最大の目的と定めており、団員に自身への個人崇拝を奨励している。彼個人も際立った発言をくり返しており、議論になることもある。だが、同時に多くの人々から人気を集めているのも厳然たる事実である。同年、私は匿名クラブ会長に就任し、ワサラー団を匿名クラブを中核とする連合体「匿名グループ」に引き込んだ。

 その時期に匿名クラブに入会したのが、「帝越コク」こと黒川祐希だった。彼は、LINEで「帝越グループ」なる組織を主宰していると称し、匿名クラブとの提携を持ちかけてきた。結果、帝越グループは匿名グループ入りし、2015年にはワサラー団など5団体とともに匿名クラブへと統合されることになった。

 帝越コクもまた、際立った発言により、さまざまな議論になりつつTwitter上での影響力を拡大させていった。そのさなか、某県で女子中学生が失踪する事件が発生した。彼は直近の言動などから、この事件への関与が疑われることとなり、彼の名は爆発的に広まった。このことが対談冒頭で述べられた、Webメディア「Kakeru」による取材へと繋がった。その後、彼は「帝越コク」のTwitterアカウントを削除し、五弓光という名で「転生」した。だが、程なくしてそのアカウントも更新が休止され、彼の動向は不明となった。

 それからしばらくして、ある起業家のTwitterアカウントが、「僕、帝越コクです」と発言した。その男が他でもない黒川祐希であった。程なくして株式会社DonutsのWebメディア「CandyPot」にて、黒川への取材記事が公開され話題となった。その後、乙武洋匡、木村直人ら著名人とも親交を深め、民主党(現・民進党)青年委員会によるディスカッションにも招聘され、一躍注目されることとなった。最近では、注釈で述べたとおり「お散歩企画」は失敗裏に終わり、程なくして当時のTwitterアカウントは更新が停止された。現在は新規アカウントで活動を再開しており、美術系の大学への進学を志しているという。

 彼ら二人は、Twitter、LINEでそれぞれ桁外れの影響力を持つ人物だ。当然、デジタル・スマホネイティブ世代のごく一般的な人間というには語弊があろうし、本文中ではどちらかというと観察者のような立場での発言が目立ったが、この世代の特徴的な姿をこの対談からも垣間見ることができる。

 近年の若年層の特徴として、クールに振る舞い、客観的で冷静沈着な態度を取るということがしばしば挙げられる。この点は本書における二人の話からも見て取れる。「クールな振る舞い」は、冷笑主義と通じるところがあり、この対談や彼らのネット上での言動にも認められるところである。

 冷笑主義はある種の自己防衛を目的としていると考えられている。虐めやネット炎上を目の当たりにして生きてきたこの世代は、概して自己防衛への意識が高いのだという。冷笑主義に基づく言説は一見「説得力のあるもの」に見えてしまいがちだが、誰もを思考停止に導く危険な言葉でもある。そうした言説を好む傾向も、彼らのみならず世代、というよりネット住民に見て取れるところのものだ。

 驚くべきは、彼らがあまりにも虚無的な思考を持っていることだ。黒川は序盤に「もう失うものない」と語った。後半では「自分が死んだ後の世界がどうなろうと、正直僕はあまり関係ない」と話し、わさらーも同調する。そして黒川は「みんなこんなもんなんじゃないかな、って思う」と続ける。次いで両者は「葬式は不要」という話題に行き着く。もしこれをニヒリズムと呼ぶことが許されるならば、それは希望のない社会情勢がもたらした消極的ニヒリズムと考えることもできよう。

 この世代は無駄を嫌うともいわれているが、彼らはネット上での活動を「遊び」として割り切る。黒川に至っては現実さえも「遊び」であると語る。 昨今、二十代の若者は「さとり世代」と称されることがあるが、社会的背景は当時も今もそれほど変わらない。「さとり世代」の特徴は、比較的最近の世代にも見られると考えることができる。

 彼らは共通して、ある程度の教養があるにも関わらず人間性が低いかのように振る舞い、かつ極めて虚無的である。こうした二人が人気を集めているのも、若者が希望を持てず、ただ一日を刹那的に生きるという現代社会の実態が背景にあるのかもしれない。

 最後に、本書の執筆にあたっては、匿名クラブの楠田このみ常務理事、電子書籍普及委員会の犬吠埼一介代表にさまざまな面でお世話いただいた。また、イラストレーターの空木さんは、独創的で親しみやすい表紙デザインを完成させてくれた。この場を借りて感謝申し上げたい。

    2016年12月
              匿名クラブ 責任役員代表理事理事長  樋茂 国明

  参考文献
・森岡武史,2010,「匿名性によるヴァーチャル・コミュニティの構造変容」,『日本社会情報学会第23回全国大会』, P240-243

・『ふぁぼ界隈のツイッタラー: ―「殺害予告」「炎上」を繰り返す“ツイ廃”の10代たち―』(Kindle版(2016年3月29日取得)、楠田このみ(ぐすべりー)、Amazon Services International, Inc.、2015年1月4日)※絶版

・京都大学,「ヴァーチャル・コミュニティの批判意見」,2016年1月17日取得.

・ツイッタラー団体連合会,2016,「ツイッタラー団体とは」, 2016年12月10日閲覧.

・株式会社co-meeting,2014,やる気を力に変える!「さとり世代」5つの取り扱い説明書,2016年11月29日閲覧.

・株式会社OSA,2016,Twitterがクリエイター収益プログラムを拡張して制作者が収入をもっと増やせるように2016年12月12日閲覧.

目次に戻る トップページに戻る