六番目の章作品、「セカボク」のネタ帳&プロット

@タイトル:世界が僕を否定しても、僕は僕であることを諦めない

@略称:セカボク

@テーマ:
前作の王冠が世界をリデザインするというマクロの物語だったのに対し、今作では個人の在り方を問うミクロの物語として描く。「相対化できない幸せと、それを模索する自由な個人が許される世界」こそが望ましいのだということ。つまり、個人が実存を獲得するためには、個人の自由が最大化され、社会の義務が最小化された、誰のどんな姿も許される、多様性のある世界であるほうがいい。対比的に描かれるのが、社会の大義が同調圧力として強要される不自由な世界であり、普遍的な幸せこそがすばらしいという錯誤である。世間の白眼視を乗り越えながら、社会の大義よりも個人の実存を選択する主人公の不屈の信念を通して、リベラルな世界のすばらしさを表現する。結果的にそれが、個人の在り方を通しての世界のリデザインであり、古さという誤りを新しさという正しさが塗り潰していく革命の過程そのものとなる。劇中劇を通して、1%の支配者階層が敷設した世界の根源的なルールを99%の弱者大衆が打倒し、彼らこそが世界の真の王になる展開が描写されることで、多様性のある自由な世界が実現しない原因=存在悪としての支配についても表現される。思いの力で、世界を変えて、幸せになろう。世界のリデザイン。革命、個人の社会からの解放、本当の幸せ=個人の実存の獲得。

@あらすじ:

・表層世界

大きな挫折。倒れ伏したままの主人公。助け起こし、颯爽と通り過ぎていく魔術師。顔を上げると、すでに見えないほどに遠ざかっていた。セントラルシティの機能を保守する企業で下級職の労働者として日々を過ごしながら、近未来のバーチャルな創作環境で売れない創作家を続ける主人公。自分もまたいつかは魔術師のような作品を作りたいという不屈の信念があった。人とは少し違うようで、いつもと変わらない日常を過ごしていた彼の前に、若いころに縁のあったヒロインが現れる。彼女は現在上級職に就き、セントラルシティの向かう未来において不可欠とされる重要な職務を遂行していた。主人公の現在の境遇に驚く彼女。彼の脳裏に、忘れかけていた、距離を置いていた、上級職への展望が開けていた挫折前の記憶が甦る。婉曲に、創作環境での活動を仄めかす主人公。生きる世界の違う彼女に理解できるはずもない。主人公の才能を本来の=彼女が望む方向に生かしたいがために、彼を獲得しようとする。生きる世界の違う彼に理解できるはずがなかった。すれ違いをお互いに認めたまま、二人はしばらく余暇を共にする。セントラルシティ。繁栄を誇る街。そこは確かに、かつて誰かが思い描いた夢の集大成だった。だが、その物質的豊かさ一辺倒な輝きに居心地の悪さを感じる主人公。そこは確かに、彼が望んだ世界ではなかったのだ。創作環境の内部で、覇権争いや内輪揉めなどが横行するなか、自らの創作に集中しようとする主人公。主流派たちの述べる豪華絢爛な街のムードに影響された華やかな創作論とはまた違った、独自の思想的で革命的な解釈を打ち立てようとする。企業内で、労働者としての日常を粛々と送る主人公。街の重要な機能を裏方で支える職務。華やかさはないが、悪くはないと思っていた。組織内で歓迎され、成果を得るものの、それもまた彼本来の望みではない。創作環境の内部で、数少ないファンから激励を受け、創作家としての喜びを感じる主人公。やはり自分の本来の居場所はここなのだと実感する。街中でデートしながら、世界の、そして個人の在り方について、二人は議論を交わす。だが結果的には、主人公は翻意せず、彼本来の生活を継続する。新たな創作の着想を得て情熱に燃える主人公。セントラルシティの秩序に対して批判的な、より先鋭的な作品を創作していく。登場人物が、世界の根源的な支配者と対峙する。

・劇中劇

近未来。大国間で技術革新の競争を原因とした核戦争が勃発している。環境の悪化に対策するため、ある国で精神転送とクローン技術を応用した全身と精神すべてを再生可能とする技術が開発されていた。だが敵国に攻撃される。ヒロインは博士号を持つ理系女子。ポニテ眼鏡。再生技術の主任研究者だったが攻撃に巻き込まれて意識を失う。目覚めると、他の研究者は多くが死に、彼女は元いた場所から遠く離れたジャングルの中にいた。そして彼女は気付いた。彼女自身が、一度死に、再生技術によって「再生された」ことに。この技術は金持ちが命を汚染に耐えて生き長らえさせるためのもの。巨大な利権産業。シェルターに隠れて無事だった社長は彼女にいう。この技術を完成させられるのは君だけだと。愛する同僚の研究者が攻撃で死んでいた。再生技術はコストが高く、必要性のない彼は復活させない社長。環境の汚染に晒された人類の遺伝子が徐々に劣化しつつある。その現象に対抗するため人類は「オリジナルの遺伝子」を神格化し堅持する道を選んだ。多大なコストを払って環境の汚染をレジストする試み。貧しい人間は差別され居住区を追われていった。人類は二分化する。遺伝子という根源となる情報を汚染から守れる富裕層。汚染されるままに遺伝子を劣化させ富裕層からはもはや人間と して見られない貧困層。故人である主人公は研究に反対していたからこそ社長は彼をあえて復活させない。悲嘆するヒロイン。自らの研究を完成させることは人類を幸せにするのだろうかと(彼女が再生される際に、主人公が研究に反対していたこと、 クローン身体にも「意志」があることなど、社長にとって都合が悪い情報は削除されている)。再生後の彼女も同じ疑問を持ち始めたと気づく社長。彼女に研究を強制しようとする。社長に隠れて主人公用の肉体をイレギュラーな寄せ集めの工程で生成しておいたヒロイン。見つけてあった主人公の精神コアを肉体に精神転送する。主人公、間一髪で「再生」される。社長の魔の手が迫る。逃げるヒロイン。主人公彼女を助けるが、「どちら様?」人格も豹変し記憶もモザイク化した別個の存在であり、それでいて確かにかつての彼でもあるような曖昧な状態で主人公が再生されたことに驚くヒロイン。それでも彼が勇敢さを発揮してその場を切り抜けたことで研究所から脱出できる。正規の手順を踏まず強引に生成した主人公の肉体は合成物としての色彩が強く人間と呼べるものではなかった。だが精神転送された彼の精神コアは紛れもなくかつての彼のものだった。そのキメラ状態が原因でまったく新しい自我を獲得した主人公。あまりの豹変ぶりに戸惑うヒロイン。もとの彼を返してと主人公に詰め寄る。だが主人公は、かっこよく研究所を脱出し彼女を守りながらこう応える。 お前も再生されたのだろう。もとのお前である保証は。証拠はあるのか。その髪型も、眼鏡も、胸も、声色も、性格も、本当のお前か? 確かなのか? と。身体能力に優れた新しい肉体と、新しい人格を得た主人公は、かつての彼と同じようにヒロインを愛し、守りながら、それまでの彼が決行できなかった計画を実行する。精神転送が行われる前のクローン身体の人間を解放、彼らとともに、密かに呼びかけを続けていた貧困層の勢力に合流する。研究所を破壊して抜け出す直前、主人公は社長のそばを通り過ぎる。因縁の二人の交錯。復活した彼に恐れおののく社長。だが、主人公は彼を殺さずに去る。人間のオリジナルの遺伝子を神格化する社長の側のイデオロギーは、主人公という亜人類の存在を逃がしたことで破綻してしまう。貧困層のスラムへと逃げ込む道中で主人公とヒロインの哲学的ないちゃラブが展開される。再生された後の主人公の特性もまた魅力的であり、かつての 「彼」とはまったく異なっていたがヒロインは惹かれていく。彼女自身も、技術的限界から元の彼女とは異なっていることが暗示される。存在としてのかたちが変わってもお互いを愛し合う二人。主人公というキメラと、再生技術の根幹を知る主任研究者のヒロインを逃がして途方に暮れる社長。結果、貧困層にも汚染レジストの機会が与えられる。オリジナルの人間に固執する姿を批判し、変容したとしても命がある限り尊いのだと説く。主人公とヒロイン、貧困層のスラムに到着。とびきりの情報があると持ち掛けてうまく入り込む。彼らが追跡不可能になることが暗示される。主人公の遺伝子を検査した門番が、こいつ人間じゃない! と驚く様子が小ネタ的に挟まれる。

@プロット:

・表層世界

激しい戦闘シーン。創作環境での執筆。負荷が掛かり緊急イジェクトされる。ランクの低い創作家として共有のモジュールで執筆している。同志が主人公の様子を気遣うが、大丈夫だといってふらふらと創作環境から離れる。命を削る、相当ハードな活動であるという描写。

セントラルシティの上層部にある創作環境から下層部へと移動。ヒロインとすれ違う。彼女はこちらに気づくが主人公は気づかない。

街の機能をメンテナンスする下級職の職務を遂行する。周囲の人間関係やライバルの存在など職務の詳細な描写。彼の普段の日常を魅力的に。しかし主人公の本来の居場所、彼にとって一番やりたい目標ではないこと、それは先ほどの創作環境での執筆であること、周囲の人間関係のうち一部が不審がっていることが描写される。

帰り道。下層部のアパートメントへと向かう途中でヒロインが待ち伏せしている。ここまで街の機能を熟知し彼の行動を追跡しているとはいったい何者なのか驚く主人公。彼女は若いころに共に学んだ級友だった。現在は上級職に就き、セントラルシティの未来にとって不可欠な職務を担当しているという。主人公の能力を利用すべく上級職へ戻らないかと持ちかける。主人公は現在の創作環境での活動や下級職としての日常を仄めかし暗に断る。議論は平行線になる。すぐには諦めないヒロイン。セントラルシティを導く職務は過酷で、競争も激しい。能力のある人間をひとりでも多く集めたいのだった。

街の機能を保守する職務の描写。本来の居場所ではないという彼の思いを察しているライバルとの対立関係が浮き彫りになる。困難な職務を遂行しつつ、ヒロインの言葉について思いを巡らせる主人公。彼自身、上級職を目指していた過去についてまったく未練がないわけではなかった。しかし今の日常をそこまで嫌っているわけでもない。街の機能を保守する職務もまた同じように重要だし、創作環境での執筆にも情熱を注いでいる。ヒロインの提案を受け入れる余地はないように思われた。

創作環境で再生する、過去の激しい挫折の記憶。倒れ伏した彼を颯爽と助け起こして通り過ぎていった魔術師の姿。創作物によって救われた彼が、創作する側に立ちたいと思うことに不思議はなかった。あれから長い時間が流れたが今も彼は創作環境での執筆と下層部での下級職を両立する生活を続けているのだった。

ヒロインの側にも苦労があるという描写。上級職としてのプレッシャーや周囲との人間関係の激しさ。

主人公の側にも苦労があるという描写。創作環境の派閥争いや、主流派と異なる亜流傍流の表現であること。支配者階層に批判的な創作に対してどこまで許容され、ペナルティがあるのかは明かされていない。そもそも創作環境がなぜ存在するのかも分からないのだった。同志に対して創作の方向性について相談する主人公。創作とは結局は自分自身の思いのままに進めるしかないものだと説く同志。それもそうだなと納得する主人公。彼自身の思いとも一致していた。

ヒロインの提案で、普段は観ることのない華やかな街の上層部で余暇を共にする二人。お互いがお互いの境遇を理解するが平行線でしかない。

創作環境で執筆している最中に、セントラルシティの支配者階層と邂逅する主人公。創作環境の存在理由や、街がどこへ向かっているのかを問う。冷酷かつ傲慢に、下級職の人間に伝えるべき内容ではないとしながらも、壮大な目標を暗示する支配者階層。すべてはそのためにあるのだと。そのためならどんな犠牲でも許されるのかと問い返す主人公に対して、にやりと笑みを浮かべ暗に肯定する支配者階層。主人公は目に観えない支配の存在に激しい怒りを覚える。

嵐と大雨。街の機能に危機が訪れる。上層部でヒロインが苦渋の決断を迫られていた。街の中枢を守るためには下層部への損害を許容するしかない。主人公たちの身を案じて躊躇する彼女の端末を非情に操作する上官。もし街の中枢が破壊されればむしろ誇りを傷つけられるのは彼らだ、信じられないのかと諭す。その言葉の裏に、彼らの存在を使い捨てにしても構わないという傲慢な意思を感じ、違和感を覚えるヒロイン。いつか上層部にいる自分の力で街の体制を変えたいと思い始める。

命懸けで街を守ろうとして窮地に陥る主人公をライバルが命懸けで助ける。日ごろから油断しているからこうなるのだと涙を流し、主人公に納得のいかない思いをぶつけるライバル。二兎を追っている創作環境との往復についておぼろげに察していた。彼に詫びつつも、自らの在り方について譲らず、暗黙に理解を求める主人公。どちらの世界も大切であり、疎かにしているつもりはないと。その言葉が本当でも嘘でもあることを理解しながら、彼が求めるものを手放す気がないことを察し、今のままの彼を同僚として受け入れることにするライバル。

嵐が去り、再び余暇を共にする二人。今度は創作環境で、完成が近づいた新作のイメージを共に視聴する。彼の活動に理解を示しつつも、ヒロイン自身の目標とは相容れないことが示される。セントラルシティが次の段階へと遷移するための実験環境であり、宇宙ステーションへと高度な街の機能が移行される日が近く、ヒロインはそのために宇宙へと向かうことになる。

すべてを投げだし、主人公と共に暮らそうかと、ありえない展望を提案するヒロイン。そんな未来がありえないことは二人とも分かっていた。お互いの生きる世界が違っても、それぞれの場所でそれぞれの幸せを追い求めようと約束し、二人は別れる。

いろいろな経緯を経ても、彼自身の目標はまったく変わらない。これからもそうであり続けることが示される。リスクを怖れず、今までは控えていた、支配者階層に対して明確に批判する内容の過激な執筆を始める主人公。創作環境で、彼自身が炎の矢となり、支配者階層のいる上層部の中枢へと飛んでいく。笑みを浮かべた支配者階層が迎え撃つ。二人の思いの力が対峙し、激しくぶつかり合う。

・劇中劇

@キャラ名:

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